『凶器は壊れた黒の叫び』 河野 裕 本 読書メーター

凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)

凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)

 

 前作で完結すれば良いと書いたが、結局読んでしまった。後悔させない内容だった。10代の時に読んでいれば、間違いなく七草のように生きると心に誓っただろう。愛しくて大切な者の幸せのためならば、敵対する事も、諦める事も厭わない。壊れてしまった失敗した過去の自分も受け入れ、改めて輝くもののためにそこにいる事を選ぶ強さ。格好よすぎるだろ。悲しいのは、この想いや感情が捨てられた存在たちの行いだということだ。例えそれがかけがえの無いものでも、実世界に生きる彼らではなく、要らないと捨てられた彼らの話である事が切ない。