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「瞳の奥の秘密」★★★★☆

知らなかった傑作。日曜の夜の回ですら半分以上の席が埋まっていた。
スペイン=アルゼンチン制作で、2010年のアカデミー外国映画賞受賞作。
25年前に起こった美人教師のレイプ殺人事件を巡る、主人公とその上司である判事事務所の女性、被害者の夫、そして犯人のミステリー映画であると同時に、被害者とその夫、主人公とその上司それぞれの思いと愛情の物語でもある。
ミステリーとしての醍醐味と、明らかにされていく謎と真実がそのまま2組のカップルの心情に絡まっていく物語が、丁寧に描かれていく。2時間半程度の長さも静かに続く緊張感にあっという間に過ぎさっていく。
主要な登場人物のそれぞれの瞳の奥に潜む秘密、それぞれが明らかになる/明らかにされてしまう。そしてひとつに修練していく物語の結末は、静かに胸に響き、ゆっくりと染みんこんでくる。40を過ぎた俺にはとても深く強い思いだった。
25年とまではいかないが、それなりに長い時間静かに思いを寄せている女性と並びながら鑑賞していたのも影響しているのかもしれない。
若さの勢いでなく、ある程度重ねた人生の中で、いくつもの思いや人を胸に抱くあなたに、ぜひ観て欲しい。
犯人が捕獲されるサッカースタジアムのシーンは、映像的にもスリリングな快楽だ。空撮のサッカースタジアム、観客の熱狂、犯人の発見、スタジアム内のチェイス、フィールドの逃走、そして捕獲までがワンカットで展開されるダイナミックなシーンには、間違いなくノックアウトだ。その点だけでも観て欲しい。