『忘却の船に流れは光』田中啓文

表紙とタイトルに騙された。ハヤカワでハードSFについに挑戦か?!しかも表紙の感じはディックの『聖なる侵入』も激しく連想させるし、これは買いだろうとずっと思っていた一冊。がちがちのハードSFを期待して読んだら、まあ壮大なダジャレのための一冊だった。
あきれはてた心地の良い脱力感。イヤじゃないな。
騙されたって感じは強いし、あいかわらず下品なだけの描写も多いけど、最後まで読ませるし、そのオチがこれかよと、しかも物語の終わらせ方も、これかよと呆れるしかない。
暇な時間と小銭があるか、もしくは頭をぼんやりとマッサージされたい時に読んだらいいんじゃない、くらいの一冊。

■ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション 『忘却の船に流れは光』