音楽を聞くことの難しさ

日曜の深夜放送されている「間ジャム」をご存知だろうか?

関ジャニ古田新太が司会で、音楽に関わるゲストを呼び、そのゲストならではの話しを聴く番組だ。

これがちょうど良いくらいのマニアックさで、見ていてそうなのかと気付かされる事が多く、J系の番組らしくない見応えのある内容なのだ。

アレンジャーがゲストの時は編曲のノウハウや音の使い方を語ったり、ベーシスト3人集めてベースあるあるを語ったり、音楽の素養がまるでない私には、毎回刺激的で興味が尽きない。

 

そんな番組と、アルトサックスを習い始めたおかげで、すっかり音楽の聞き方が変わってしまった。

この数年はガールフレンドのおかけでビルボードとか早稲田のライブハウスとかのライブにもたまに行くようになり、生音の演奏を聞くようになったのも大きい。

メロディと歌詞を聞いて、良い曲だとか、せいぜいボーカルの声が独特で好きだわとか思っていたのが、ベースのラインを追ってみたり、アレンジの中のオルガンやストリングスを探してみたり、こんなに音楽って情報に溢れてたのかと驚きながら、聞き慣れているはずの曲を次から次へと新鮮な気分で聞き直している。

ただ、音楽ってのは形がないぶん、聴き込むのがすごく難しくて、そこがほらベースみたいに指差したり明確な位置を教えてもらうことができない。当たり前だけど、これは深い。ベースの音なんてあっと言う間に見失っちゃう。

 

皆、良くこういう音に気づいて、楽しんでるよなと感心する。

同時に、音楽聞く深さってのをなんでもっと早く教えてくれないんだよと、ちょっとだけムカつく。

誰々のベースが凄いとか、あのアレンジは神だとかと誰かが言うのを漠然と聞いてたのが、この事かよ!と目から鱗の瞬間、他の人たちはどこでこういう事を教わってんだよって疑問が湧く。

10代の頃、ギターはもちろんなんの楽器もやってなくて、歳上の兄弟も友人もいなかったので洋楽も聞いてなかった、アイドル歌謡やフォークの延長のニューミュージックを聞いているしかなったから、なんの知識も経験もないまま大人になってしまってた。

損してた。

誰でもいいから教えて欲しかった。音楽の楽しみ方は尽きないよって。ほらこのベースライン、ちょー格好良くね?何なにな技法でさ、誰々が得意としてたんだよね、とかさ。

 

メロディや歌詞にストレートに感動するってのももちろん楽しい。

でも、プロが隅からすみまで計算して、感性を駆使して構築して形造られた曲は、アイドルだろうがロックだろうが、聞くほどに凄いと思う。

 

ずるいよ皆。こんな風に音楽を楽しんでんのなら、俺にも早く教えてよ。

てな事を踏まえ、最近では飲みの席でこのあたりの話しを得意げに語って、知ってるよおまえ分かってないねとかと笑われる事が増えた。大人になって楽器始めると、今更ながらこういう事に気づいて、急に語り始めるらしい。

これがまた嫌いじゃないんだな。