『タイアップの歌謡史』 速水健朗

文章そのものは、淡々と戦前から2006年あたりまでの、映画、CM、TV番組などと歌謡曲とのタイアップの歴史が紹介されるだけだ。しかし、ここに書かれたタイアップの歴史は、今までの音楽への意識を変えさせるくらいのインパクトも持つ。仕事柄、タイアップに対して、耐性や、当たり前の感覚を持ってはいるけれど、日本でヒットする音楽のほとんどが、何かしらのタイアップの流れにあることを改めて指摘されると、唸らされてしまう。
オリジナルの音楽活動って何だ?純粋の音楽だけを聞かせたい歌謡曲って存在するのか?音楽聞くってどういうことよ?タイアップは悪なの、善なの?そんな問題自体が無意味じゃねーの?売る事と聞かせる事はどっちが主なわけ?結局消費者なんて大量に耳に入んないと、音楽なんて聞いた気にならないんじゃないの?俺は音楽が好きだたって奴は、実際にそこにある商業的な関係を理解して、好きだって言えてるの?洋楽だって、これ以上にすごい事になってるよね。などなど、ぐるぐると思考は回っていってしまう。
まあ純粋に耳に入る音が心地よければ、その音楽が好きってことで良いんだけどね。