2004-03-21から1日間の記事一覧

『スペーストラベラー』

金城武は好きなんだけどね。演技が下手だしスクリーンを満たす何かが足りないんだよな。ピンだとモニターサイズの役者って感じ。映画そのものはジョビジョバの舞台が原案らしいけど、親切な観客ならやりたい事をわかってあげられるけど、まるで力不足だし構…

『遭難者の夢』 天童荒太

第一巻に引き続き、ぐいぐいと引き込まれる。『家族狩り』で知っているはずの話も新たな気持ちで接する事ができた。 それでもやっぱり五分冊は、辛い。もっと先を読みたいと思うところで終わってしまうのは、無しだと思う。 娯楽エンターテインメントなら、…

『ぼくのキャノン』 池上永一

第二次世界大戦の沖縄戦の際に、海辺の村に設置されたキヤノン砲を真ん中においた、沖縄ファンタジー。甘いファンタジーではない。シリアスな語り口ではないけれど、根には本土決戦の前に見捨てられた沖縄の悲劇がある。 戦争が終了して半世紀以上が経った今…

『六月の蛇』

塚本晋也。薄青く色づけされたモノクロームの映像は、ぬめりとしてエロチックだ。降り続ける梅雨の雨のように、濡れそぼりビチャビチャとした空気の質感もエロチックだ。 心の奧に隠し、一人こっそりと満たしていた女の欲望を、死を意識する事で開放していく…