本
八月の犬は二度吠える (講談社文庫) 作者: 鴻上尚史 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/07/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 暑苦しいほど濃密な仲間なんていなかった。片田舎の街で、東京に憧れて地元を心底恨んでる奴は浮いていた。だか…
事件カメラマン天羽眞理子 慈しむ男 (角川文庫) 作者: 荒井曜 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2015/02/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 今時のコインロッカーベイビーは、コウノトリポストから産まれた。赤ちゃんのぺニスを咥え…
新橋アンダーグラウンド 作者: 本橋信宏 出版社/メーカー: 駒草出版 発売日: 2017/11/16 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 新橋は通勤で毎日のように使っている。歩く度に猥雑だなと思いながら、妙に愛着も感じていた。この本を読んで更…
少女ノイズ (光文社文庫) 作者: 三雲岳斗 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2010/04/08 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 45回 この商品を含むブログ (27件) を見る 狡い小説だ。頭脳明晰、容姿端麗でツンデレでエキセントリックな行動をするけれど本質は…
鯨の王 (文春文庫) 作者: 藤崎慎吾 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2009/12/04 メディア: 文庫 クリック: 4回 この商品を含むブログ (11件) を見る 深海は浪漫だ。地上なら10分程度歩けば到着する距離が、海の深さに変わるだけで人の住む世界から遠く離…
漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2014/04/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (17件) を見る 甘い匂いのする、柔らかくて暖かいものに、優しく包み込まれて時を過ごせるのなら、駄目になっても構わない…
組長の妻、はじめます。: 女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録 作者: 廣末登 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/09/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 普通に暮らしている分には、めったに関わる事のない世界が、同じ日本で重なるよう…
ユリゴコロ (双葉文庫) 作者: 沼田まほかる 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2014/01/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (68件) を見る 恨みで人を殺したいと思った事はない。殺したくなるほど人を愛した事もない。人を殺す事を目的として殺人の妄想…
対する相手の数だけ、人は様々な顔を持つ。全てが本物で、すべてが偽物だ。そう考える本人の意識に対してさえも、本物であり偽物でもある。意識って面倒臭い。ましてや他人の中にある「私」の印象なんて面倒臭いの極致だろう。勝手な思い込みと、都合の良い…
学生運動に遅れて産まれた。しらけ世代の次のバブル世代にあたる。高校の頃には、学生運動に対して憧憬と軽蔑と少しの恐怖を抱いていた。教育実習生の日報に「革命を忘れるな!」などと書いたりもするおかしな餓鬼だった。マスコミの端くれに就職すると学生…
凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex) 作者: 河野裕 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/10/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 前作で完結すれば良いと書いたが、結局読んでしまった。後悔させない内容だった。10代の時に読んでいれば…
機巧のイヴ (新潮文庫) 作者: 乾緑郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/08/27 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 日本版スチームパンクとして抜群の面白さ。江戸のパラレルワールド天府を舞台に、機巧人形と人を隔てるものは何なのかを問いか…
三惑星の探求 (人類補完機構全短篇3) 作者: コードウェイナー・スミス,伊藤典夫,酒井昭伸 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/08/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 初翻訳の「嵐の惑星」が素晴らしかった!突飛な設定、提示される…
桜の森の満開の下 作者: 坂口安吾 発売日: 2012/09/13 メディア: Kindle版 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 『桜の森の満開の下』 妖しく咲き誇る満開の桜。本来の桜は狂おしく嫌悪に近い悪魔的な魅力を持つものだ。薄桃色の美しい花弁が幾重にも…
※この記事は、自分語りです。しかも長い。 夏休みに、10代の頃を思い出し、私の人となりに影響を与えた作家たちについてつらつらと考えてみた。 10代の頃の読書は、もろに人格に影響を与えてるなあと、改めて思った八月の暑い朝。 小学校低学年の時、図書館…
弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 作者: 阿部智里 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/07/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「弥栄」に含まれた意味が壮絶だ。猿と烏と人の物語は、少数民族の闘いと抑圧、吸収と繁栄の物語だ。蝦夷、沖縄、東北…
平等ゲーム (幻冬舎文庫) 作者: 桂望実 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2012/04/12 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る 清濁併せ飲む事で人は生き生きと生活ができる。自分の中の暗い欲望や嫉妬心などを見ればその…
東京難民(上) (光文社文庫) 作者: 福澤徹三 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 主人公の転落の姿は、そのまま私の姿だ。上巻の些細なきっかけで『普通』から外れ芋づる式に堕ちていく姿、最悪な…
戦争で死ねなかったお父さんのために (1979年) (新潮文庫) 作者: つかこうへい 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1979/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 舞台『郵便屋さんちょっと2017』観劇に向けて再読。10代の頃、自分の体(頭・言葉)は、…
さくらの唄 文庫版〈全2巻〉完結セット【コミックセット】 作者: 安達 哲 メディア: コミック 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 基本的に漫画はレビューしない事にしているが、この本は読んだ事を記したい。下巻の展開の予兆はあるが、何…
ボラード病 (文春文庫) 作者: 吉村萬壱 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/02/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 不快ではない。薄気味悪いのだ。満面の笑顔のすぐ裏側に、どす黒い本性が滲み出ている瞬間を目にする気色の悪さだ。…
ケシゴムは嘘を消せない (講談社文庫) 作者: 白河三兎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/01/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 数多ある正論のひとつ、見えないものこそ事の本質である、てのは耳障りが良いだけの嘘で、逆に目に見え…
君の膵臓をたべたい (双葉文庫) 作者: 住野よる 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2017/04/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 「仲良し」の二人の関係が始まるあたりは、僕と彼女の言葉のやりとりにニヤニヤしていたが、後半は泣きっぱなし…
スペードの3 (講談社文庫) 作者: 朝井リョウ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/04/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 自意識ってやつは厄介だ。ぐるぐると頭の中で答えの出ない独りよがりな思いが渦巻いて、周りのことも自分のフィ…
壁の鹿 (講談社文庫) 作者: 黒木渚 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/04/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 喋る剥製という不可思議な設定とどこか懐かしい空気感の第一章から物語に引き込まれる。生きるのって難しいし面倒くさいけど、そ…
聖なる怠け者の冒険 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2013/05/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (68件) を見る 人はなぜ本を読むのか?その真相は!ジャージャーン!大いなる暇つぶしなのであります。なぜなら人は、人であ…
黒龍荘の惨劇 (光文社文庫) 作者: 岡田秀文 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2017/01/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 大胆不敵で奇想天外なトリック。最後まで気づけなかった。さらりとした文体でオドロオドロシイ手触りではないが、その実…
「週刊文春」編集長の仕事術 作者: 新谷学 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2017/03/10 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 普段ビジネス書の類は読まない。ありきたりな教訓には辟易とするしかないし、ありがた…
愚行録 (創元推理文庫) 作者: 貫井徳郎 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2009/04/05 メディア: 文庫 クリック: 20回 この商品を含むブログ (48件) を見る 愚かなのは、登場する被害者夫婦、犯人、インタビューを受ける人々だけじゃない。この本を読んで…
みかづき 作者: 森絵都 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/09/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (10件) を見る 熱中時代に憧れ教師になりたい時もあった。日教組反対と叫んだ青春の日もあった。三代にわたる教育に関わる真摯な親子の物語を読み…